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講義名

ロボット演劇「働く私」 

*映像をご覧いただくためには、"QuickTime"が必要です。

目的

本映像は、大阪大学コミュニケーションデザイン・センターの協力のもと、大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻における株式会社イーガーと連携したPBL(Project based learning)による大学院教育の実践的演習に取り組み、その成果を大阪大学21世紀懐徳堂にて発表されたロボット演劇の一部です。

本プロジェクトはエンターテインメントとしてのロボット演劇
であると同時に、ロボットコミュニケーションの実証実験として位置づけられています。

コミュニケーションロボットやサービス用途に用いられるロボットは、近年、人間社会にとけ込もうとしています。しかしながら、外観や動きの未熟さからか、まだまだ、異物感が払拭できていません。これは人間が抱くロボットに対するイメージとロボットの機能のギャップに起因しています。

ロボット演劇プロジェクトの目的は、近未来に実現されるロボットとの関わり方を人々に見せ、ロボットに対するイメージを現実のものに近づけるとともに、感性価値の観点からロボットのみならず、プロダクトデザインを考える上で、今後、重要視されるであろうモーションデザインに関して検討するものです。 

内容

ロボットと人間が当たり前に共存するようになった時代。
真山夫婦は2体のロボットと一緒に暮らしている。
ロボットの名前はタケオとモモコ。
モモコは、料理やデザートを作ったりと、真山家にとってはなくてはならない存在である。
一方、タケオは・・・・。

働くために作られたロボットが、働けなくなってしまった状態を通じて、人間にとって、「働く」とはいかなることなのかを考える。
これは、まったく新しい未知の演劇です。

協力会社・スタッフ

・監督・脚本・演出:平田 オリザ 大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授,劇団「青年団」主宰

・テクニカルアドバイザー:石黒 浩 大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻教授

・ロボット側監督・プロデューサ-:黒木 一成  株式会社イーガー 取締役会長

・ロボット提供:三菱重工業株式会社

・俳優:有限会社アゴラ企画

キャスト タケオ(ロボットA:三菱重工業社製(wakamaru)
モモコ(ロボットB:三菱重工業社製(wakamaru)
真山 祐治:太田 宏 劇団「青年団」
真山 郁恵:井上 三奈子 劇団「青年団」
映像提供 想田和弘 LABORATORY X, INC
コメント

【石黒浩教授】
人と関わるロボットの開発に10年近く取り組む中で,研究室でロボットの開発をやると共に,常に実際の社会でロボットを使ってみるという実証実験にも取り組んできました.しかし,いきなりロボットを実際の社会に出しても,人々は,そのロボットをどのように使えばいいか分からないという問題がありました.無論,使い方は教示するのですが,教示しなくても自然にロボットと関われるような,そんなロボットと人間の関係を作れるのが理想なのです.

このようなギャップが生じるのは,映画の中で見るロボットと,実際のロボットの機能の差にあります.人々は,映画の中のロボットをイメージしてロボットと関わろうとするのです.すなわち,研究室での開発と,実際の社会での実証実験の間を埋める何かが必要なのです.それが,ロボット演劇だと思っています.知人のアーティストから“舞台は実験場だ”と聞かされたとき,舞台を通して,ロボットとの関わり方を人々に見せるというのが抜けているのだと気づきました.

そのような事を考えている時に,ロボットのコンテンツを作ってビジネスをしたいという黒木さんに出会い,そして,今まで私が知らなかった臨場感を生み出す平田先生の演劇に出会ったのです.この3人の取り組みは,アートと技術とビジネスが融合した新しい分野を切り開くと確信しています.

【平田オリザ教授】
大阪大学、鷲田総長との雑談の中で、阪大で何か面白いことができないかと聞かれて、「ロボットと演劇を創りたいんですが」と申し上げたら、すぐに浅田先生、石黒先生という阪大の誇るロボット工学の権威を紹介していただきました。

お二人にお会いしてからの展開は驚くほど早く、それはおそらくロボット研究において私のような存在が求められる時機だったのだろうと自負しています。

今回のプロジェクトにおいても、石黒先生と私の問題意識はとても近いところにあり、あまり詳しい説明をしなくても、作業は順調に進んでいきました。私たちが考えてきたのは、「博覧会レベルの展示では、人々は、感心はしてくれるけれど感動はしない。感動できる芸術作品を創ろう」ということです。すでに稽古の段階を通じて、その手応えは得ています。あとは当日、ロボットが機嫌良く動いてくれることを祈るのみです。

このプロジェクトは発表段階で大きな反響を呼び、国内外の美術展や演劇祭からのオファーをも来ております。私たちは、このプロジェクトを発展させ、商業ベースでの鑑賞に堪えうるものにするとともに、新しいロボットによる芸術の領域を開拓したいと考えています。文楽の伝統のある大阪で、新しい表現ジャンルを開拓し、それを大阪再興のキラーコンテンツとするのが私の願いです。 私たちはいま、ロボットという文化を、新たに創造しているのかもしれません。

【株式会社イーガー 黒木一成様】
ロボットとはいったい「何」なのでしょうか。動くマネキン?家電製品?それともしゃべるパソコン?・・・どれもあてはまらないような気がします。しかし、今までに無い感情が、ロボットに対して生まれているように思います。20年近く、人に役立つ電化製品の開発に取り組んできましたが、広義の意味でロボットを電化製品の一端と考えた場合、ロボットほど人に影響を与える「存在」はありません。それは、ロボットが擬人化傾向にあることと、感情を移入しやすい「存在」であることに他なりません。そのような「存在」を、“心”の準備もせず、実際の社会に出した場合、人々は困惑するばかりではないでしょうか。

そんな中、長年、ロボットの研究に取り組まれていた石黒先生と出会い、人とロボットの関係性や技術の研究を行うこととなり、実証実験の場として、演劇の舞台を用いることになりました。演劇は、日常をデフォルメした集大成であり、ここで得られたデータは、ロボット開発技術へのフィードバックが可能となります。   また、演劇という特異性から、人とロボットの関係性や使い方を社会に周知させることもできます。

今回、“心の揺れ”や“感情の変化”を、臨場感溢れる脚本で表現される平田先生の力をお借りし、ロボットが発する言葉のタイミング(「間」)や動き(「しぐさ」)が、人にどのような影響を与えるのか、また、感情移入したロボットとの関係性など、ロボット演劇を通して、ロボットとはいったい「何」なのかを解き明かせていければと思っています。

Copyright 2010, 寄稿する作者による. 引用/出所元. シラバス. (2009, February 18). Retrieved March 30, 2017, from Osaka University Open Course Ware Web site: http://ocw.osaka-u.ac.jp/engineering-jp/robot-actors-project-jp/syllabus-jp. この作品は次のライセンスによっています: Creative Commons License Creative Commons License