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講義名 科学技術コミュニケーション
目的  われわれの社会は科学技術の発展の上に成り立っている。これまで、科学技術をどう発展させ利用するかは専門家に任せておけばよく、一般市民はその結果を享受すればよかった。しかし近年、科学技術のために環境・生命・生活の安心が脅かされるようになり、市民が科学技術のあり方に関わろうとする動きが生まれている。これからの専門家には市民と対話する能力が求められているといえる。
 本講義では、科学技術コミュニケーションとは何かについて紹介し、将来の専門家である大学院生に求められるコミュニケーション能力とセンスを養うための基礎知識を提供する。
内容

I.科学技術コミュニケーションが求められるようになった背景(4回)
科学と技術の関係、科学技術の誕生を歴史的に概観し、科学技術と人間社会の関係性の変化を振り返ることを通じて、科学技術コミュニケーションが課題となってきた背景を講義する。

II.科学技術コミュニケーションが問題となるさまざまな事例(5回)
科学技術と社会のコミュニケーションを考える上で重要な事例を紹介する。事例として遺伝子組み換え作物、原子力、地球温暖化などを予定している。さらに科学技術コミュニケーションに関するメディアの役割や行政の対応についても講義する。

III.世界の取り組み(2回)
先進各国での科学技術コミュニケーション改善の試みを紹介する。具体的事例としても、サイエンスショップやサイエンスカフェ、コンセンサス会議などを紹介する。


IV.コミュニケーション・スキルの基本(2回)
将来の専門家として、社会とのコミュニケーションに必要なプレゼンテーション技法や対話の手法、情報発信の手法の基礎概説する。その上で、講義全体を振り返り、今後の課題について考える。

V.まとめと筆記試験(2回)

教科書 not specified
評価 出席と筆記試験による
コメント

■今、なぜ、科学技術コミュニケーションか
 身の回りを眺めてみると、科学技術による加工を受けた人工物に満ち溢れています。科学技術の産みだした製品やサービスは絶え間なく、わたしたちの生活に投入されています。その結果、私たちの暮らしは便利になり、豊かになりました。その一方で1970年ころから、「ちょっと待てよ」、「こんなこと続けていてもいいのか」といった気分が生まれていました。

 今や生命技術やIT技術に典型的に見られるように、科学技術はわたしたちの生活や将来に大きな影響を与える点で、「年金制度改革」と同じくらい重要なものになっています。とすれば、科学技術の正と負の影響を受ける普通の人々にも発言権があっていいはずである。けれどもわたしたちの社会には、そのような人々の声を聞き応答してくれるチャンネルがありません。

 それどころかコミュニケーションを拒否され、すれ違い、苛立っている人が増えているのである。知識のない人はそれを習得しない限り、専門家と話をする資格はないのでしょうか。しかし、コミュニケーションとは、お互いに相手の意見を聞き、関心を共有しようとする姿勢がなければ成り立たないはずです。

■例えば
[専門家] 対 [専門家]
知の爆発状況において、専門家は「特殊な」素人に過ぎません。専門家同士でも、ちょっと分野が異なれば、話が通じないことがたくさんあります。

[専門家] 対 [政策立案者]
科学技術が浸透した社会で、多くの政策は専門家の助言なしには立案できません。しかし政策決定者と専門家のコミュニケーションもうまくいっていないことが多いのです。

[専門家] 対 [素人]
専門家は正統なる知の創造者・所有者として、素人に対しては「教化」の発想を持ちがちです。しかし、素人が何を憂慮し、何を望んでいるかはうまく伝わっていません。
 科学技術を社会に組み込んで生きるという選択をしたこの社会では、科学技術をどのように使いこなしていくか、という問いは、専門家にだけ任せればすむ問いではないはずです。誰もが意見を言っていいし、言わなければいけない時代なのです。

■この講義では、
 将来の専門家である大学院生が、社会から信頼される、そして社会の期待や懸念、問題を理解するセンスのある専門家になるための基礎教養として、幅広く科学技術コミュニケーションの問題を扱います。
■文系の参加が重要です
 この講義では文系の人々の参加が決定的に重要です。現代の科学技術は理系の人々だけが考えればすむ課題ではないからです。文系の人々もまた、科学技術の課題に積極的に取り組む必要があります。
■さらに関心のある人は、
 この入門講義を踏まえて、「科学技術コミュニケーションの理論と実践」を受講してください。そこでは、集中形式の実習を組み込んだ、もう一歩深い体験ができます。

Copyright 2010, 寄稿する作者による. 引用/出所元. シラバス. (2010, April 09). Retrieved March 24, 2017, from Osaka University Open Course Ware Web site: http://ocw.osaka-u.ac.jp/communication-design-center-jp/introduction-to-science-and-technology-communication-jp/syllabus-jp. この作品は次のライセンスによっています: Creative Commons License Creative Commons License